今回は前回の続きで、骨粗しょう症の予防と治療 お薬の話です。
前回、骨は何歳になっても、古い骨を壊して新しい骨を作るというサイクルを繰り返していて(骨のリモデリング)、治療薬は大まかに分けると以下の3種類があるとお話をしました。
① 骨を壊す働きを抑えるお薬(=破骨細胞の働きを抑えるお薬)
② 骨を作る働きを強くするお薬(=骨芽細胞の働きを促進するお薬)
③ 骨のリモデリングのバランスを整えるお薬
その中でも本日は,
②と③を説明していきます。
② 骨を作る働きを強くするお薬(=テリパラチドなど)
テリパラチド はもろくなった骨の中の構造を再構築して、強くしなやかな骨を作るお薬になります。
骨折の予防効果が高いため、特に骨折の危険性が高いと考えられる方に使用するお薬になります。
当院では以前骨折したことがある方や、骨密度がかなり低い方におすすめしています。
飲み薬があれば良かったのですが、注射製剤しかなく、1日1回自分で注射をするタイプが有名です。
自分で注射をすると聞くと嫌がられる方も多いのですが、インスリン注射のようにお腹などに米粒ほどの針で注射をするので、意外とすぐに慣れる方が多いです。
他の骨粗しょう症薬から切り替えて使う場合は、骨密度の上昇がそこまで出ないこともあるため、骨形成の力が上がっているかどうかを採血で定期的に確認をします。
投与期間は24か月(2年間)となっています。
また、この薬とは別で、骨形成の促進とともに、骨吸収の抑制効果のある注射製剤も出てきています。
今後もさらに選択肢の幅が広がることを願っています。
③ 骨のリモデリングのバランスを整えるお薬(ビタミンD製剤など)
活性型ビタミンD は、小腸からのカルシウムの吸収を促進させることで、骨を作る過程を促進させるとともに、骨量減少を抑える作用もあります。
骨密度を増加させる力はマイルドですが、副作用も少なく、まず最初に使いやすいお薬になります。
とくに、歯科治療中の患者さんは、骨粗しょう症のお薬によってお休みしないといけないものもあるのですが、ビタミンDは全く心配なく飲むことができます。
また、免疫力を上げたり、癌(皮膚癌、乳癌、前立腺癌、肺癌)の予防効果もあるという報告もあり、おすすめのお薬になります。
以上で骨粗しょう症の治療薬に関する説明はひとまず終了となります。
骨粗しょう症の治療ガイドラインが根底にありますが、これまで参加した勉強会や自分がこれまで治療してきた経験を踏まえて、私見を含んだブログ記事となります。
皆さんの骨粗しょう症治療に少しでもプラスになれば幸いです。
院長