さまざまな原因により骨の強さ(骨強度)が低下し、骨折が起こりやすくなることを「骨粗しょう症」と言います。
日本では約1300万人の方が骨粗しょう症だといわれています。
女性に多くみられ、閉経を迎える50歳前後から急増し、有病率は男性の約3倍です。
60代女性の3人に1人、70代女性の2人に1人が骨粗しょう症というデータもあります。
初期は自覚症状に乏しく、骨折して初めて骨粗しょう症だったと分かることもあります。
骨折により入院や介護が必要となることも多く、生活の質を守り健康寿命を伸ばすためにも骨粗しょう症は注意しなければならない疾患の一つです。
☆骨粗しょう症の原因☆
骨は一度できあがってしまうと、その後変わらないもののように思われがちですが、実は古くなった骨はメンテナンスされて新しい骨へと生まれ変わっています。
生きている限り100歳を超えても、この新陳代謝は繰り返し行われます。
しかし、何らかの原因で新陳代謝のバランスが崩れてしまうと骨は脆くなり、骨折しやすい状態へと陥ってしまいます。
原因として以下のようなものが挙げられます。
・加齢
・運動不足
・極端なダイエット
・偏食による栄養バランスの乱れ(タンパク質やミネラル不足)
・ホルモンバランスの乱れ
・喫煙
・過度の飲酒
ご両親や血縁関係の方が股関節の骨折(大腿骨近位部骨折)を経験している方も注意が必要です。
その他、関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、副甲状腺機能亢進症、ステロイド薬の長期服用などによって、骨粗鬆症が引き起こされることもあります。
☆骨粗しょう症の症状☆
初期には自覚症状が現れにくいことが多いのですが、以下のような症状があるときは注意が必要です。
・以前より身長が縮んだ気がする
・背中や腰が曲がってきた
・立ち上がるときに背中や腰に痛みを感じる
・よく胸やけが起こる、お腹がすぐにいっぱいになる
・よく息切れがする
一番の問題は、骨粗しょう症が進行するとちょっとした転倒、重い物を持ったはずみなどに骨折してしまうことです(脆弱性骨折)。
とくに何もしていないのに骨折をすることもあります(いつのまにか骨折)。
「骨粗しょう症は老化だから仕方ない」とお考えの方もおられると思います。
また、「同世代の骨密度の平均値と比べて、同じくらいだから大丈夫」とお考えの方もおられることでしょう。
「骨粗しょう症は老化だから」と諦めなければいけない病気ではありません。
「骨密度はみんな下がるものだから」と放置しておいて良いものではありません。
もしも今、骨粗しょう症の状態であったとしても、現在では効果的なお薬が開発されていますので、治療をすることで骨密度を改善したり、転倒による骨折を予防することが可能です。
検査や診断、食事や予防、治療に関しては次回以降に紹介します。
院長