今回、リウマチになりやすい人とその対策としてブログを書いていきます。
関節リウマチの遺伝性
よく関節リウマチの患者さんから、リウマチは遺伝するのですか?と質問されます。
結論から言えば、リウマチは遺伝病ではありません。
しかしなりやすい体質というものはあります。
一卵性双生児は遺伝子が100%一致していますので、関節リウマチが遺伝性の病気であれば、一卵性双生児間の関節リウマチ発症確率は100%になるはずです。
しかし、一卵性双生児が互いに関節リウマチになる確率は15~20%です。
そして、関節リウマチの家族内発症確率として、スウェーデンの有名な研究がありますので、結果を紹介します。
1) 親が関節リウマチの場合の子供の関節リウマチ発症リスク:3.02倍
2) 兄弟姉妹が関節リウマチの場合の関節リウマチ発症リスク:4.64倍
3) 親と兄弟姉妹が関節リウマチの場合の関節リウマチ発症リスク:9.31倍
この結果からみても、親、兄弟にリウマチの患者さんがいた場合は、普通より確かに関節リウマチになりやすいのですが、一般の人口における関節リウマチの発症頻度が0.5%であることを考えると、強い遺伝性ではない と言えます。
関節リウマチを発症しやすい年齢
年齢別にみると、30~50歳代で発症した人が多く、男女比では人口1000人あたり女性5.4人、男性1.1人と、女性に起こりやすい病気と言えます。
リウマチと診断された年齢
2020年リウマチ白書 日本リウマチ友の会 より
ここまで数字を用いていろいろと説明をしてきましたが、家族歴や性別、年齢など変えられないことを心配してもしょうがありません。
では、リウマチを発症しやすい方は、何を注意したらいいのでしょうか?
リウマチを発症しやすい環境とは?
実は、リウマチを発症するときに、環境因子が大きく関わっていることがすでにわかっています。
具体的には、細菌やウイルス感染、過労やストレス、喫煙や出産やケガなどになります。
最近の疫学調査では、喫煙により関節リウマチの発症リスクが最大14倍も高まることが示されました。
喫煙の本数と喫煙年数の両方が発症に密接にかかわっています。
家族が関節リウマチであるということは変えられなくても、禁煙は取り組めるのではないでしょうか。
また十分な睡眠と適度な運動、バランスの良い食事が大切なことは言うまでもありません。
食事に関しては、魚の脂・オリーブオイル、果物・調理した野菜(生野菜は除く)・アブラナ科の野菜の摂取量が多い人は関節リウマチの発症が少なかったという報告があります。
これらの食材には、多価不飽和脂肪酸や抗酸化ビタミン類が多く含まれており、炎症を抑える効果があるために関節リウマチになりにくいのではいかと推測されています。
そして運動習慣のない方は、まずは20分程度の軽いウォーキングから始めてみることをおすすめします。
ウォーキングには気分のリフレッシュ効果もあり、適度な疲れから睡眠の質も上がりやすいと考えます。
参考にしていただけますと幸いです。
院長