MRI診断とレントゲン診断で違うリハビリ開始時期を整形外科専門医が解説
はじめに
腰椎分離症は、特にスポーツをしている成長期の子どもに多い腰の疲労骨折です。
患者さんや保護者の方からよくいただく質問が
「リハビリはいつから始めていいですか?」
「いつからスポーツしていいですか?」
というものです。
実はこの答えは
レントゲンで診断されたか
MRIで診断されたか
によって大きく変わります。
ここを間違えると
可能性があります。
この記事では整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。
腰椎分離症とは?
腰椎分離症とは、腰の骨(腰椎)の後方部分に生じる疲労骨折です。
腰椎の後ろ半分は「椎弓」といってリング状の構造をしています。
そのリングの斜め後方は細く弱い部分で、背中をそらす動作やジャンプからの着地のような動作で力がかかります。

そういう動作が繰り返されると骨にひび(疲労骨折)が入ってきます。

特に多い年代:
多いスポーツ:
原因は繰り返す腰の反り動作や回旋動作です。
【重要】診断方法で病期が違う
腰椎分離症には大きく分けて2種類の状態があります。
① まだ骨がくっつく可能性がある時期
② すでに骨がくっつかない慢性期
そしてこの違いは
どの検査で診断されたか
が大きく関係します。
レントゲンで分離がわかる場合のリハビリ開始時期
特徴

分離部を斜めからみたところ

斜めからのレントゲン写真
レントゲンで明確に分離が見える場合、多くは
です。
つまり
👉 骨が自然に治る可能性は低い状態
です。
リハビリ開始時期
この場合は
👉 早めにリハビリ開始可能
です。
理由:
骨癒合を目的としていないためです。
リハビリ内容:
スポーツ復帰は
痛みが消えれば段階的に可能
です。
MRIで診断された場合のリハビリ開始時期
特徴
この患者さんは、レントゲン検査では斜めから撮っても骨折線はありませんでした。
しかし、MRI検査をすると



矢印の部分で出血をしていることがわかります。
完全な骨折ではなく、骨折の一歩手前のいわゆる不全骨折の状態です。
MRIで初めて分離が見つかった場合は
であることが多く、
👉 骨がくっつく可能性が高い時期
です。
この時期に無理をすると
の原因になります。
リハビリ開始時期
原則:
👉 まず骨を治すことが最優先
一般的な流れ:
① コルセット固定+運動制限
(約6~12週間)
② 痛み改善+画像確認
(MRI検査では、修復後もしばらく反応が残って表示されてしまうため、レントゲン検査で骨折が発生していないかを確認します)
③ リハビリ開始
スポーツ復帰までの目安:
👉 約8週間~6か月
よくある間違い
「安静にして、骨がくっついたらスポーツ復帰していいよね?」
答えは 「ダメ!」です。
安静にするだけでは、痛みが取れても運動再開とともに、また同じ場所に負担がかかるため、再発する可能性が高くなります。
当院での治療方針
当院では
を行っています。
成長期の腰痛は放置すると慢性化することがあります。
早期診断・早期治療が重要です。
受診の目安
次の症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
✔ スポーツ中の腰痛
✔ 腰を反ると痛い
✔ 運動後に痛みが強くなる
✔ 数週間続く腰痛
まとめ
■ レントゲンで分離が見える場合
→ 慢性期が多く早期リハビリ可能
■ MRIで診断された場合
→ 骨癒合優先で安静が必要
■いずれも安静の後、復帰前にリハビリが大事
なかむら整形外科 院長
参考文献